MR不要論
前回の記事でMRは一般的に見て高収入の部類であることをお話ししました。
しかし、MRの数は2013年の6万5752人をピークに、2021年には5万1848人まで急激に落ち込んでいます。
これにはいくつか理由があると考えております。
①医療費削減を目的とした後発医薬品(ジェネリック・バイオシミラー)の使用推進
②長期収載品の薬価引き下げによる収益改善のため
③糖尿病や高血圧などプライマリー領域の大型新薬の減少(SOV時代の終焉)
④MRがいなくとも売り上げが維持・増加することがコロナ禍で露呈
特に④の新型コロナウイルス出現により、病院への訪問自粛などの影響で活動量の落ち込みが
激しかったにも関わらず、医薬品の売上は薬価改定の影響を除くとほぼ無風か、
むしろ増加しています。
すると経営側は「あれ?活動量は落ちたのに売り上げは下がっていないぞ!?」
「MRはいまより少なくても大丈夫じゃないか?」と考えるのは自然でしょう。
加えて、シェアオブボイスで売れる時代では無くなり、個別化医療の実現可能な領域も出てきました。
代表格は遺伝子検査の結果次第で治療方針が大きく変わる ”乳がん” や ”肺がん” 治療でしょう。
このような領域では専門的な知識を持ち、コミュニケーション能力、業務遂行能力を備える
ハイスペックな人材が求められようになりつつあります。
また、リストラや早期退職は業績の悪い会社が行うというイメージもあるかもしれません。
製薬会社においては業績好調でも早期退職を募集することは珍しくありません。
ここ数年で業界を驚かせたのは、中外製薬(コード:4519)でしょうか。
2019年に過去最高売上と収益の中、45歳以上の従業員に対し早期退職を実施しております。
その他にも2020年に武田薬品工業(コード:)、2019年に中外製薬、アステラス製薬、
協和発酵キリンなども実施しており今後もこの傾向は続くと思われます。
MRの未来
では、MRはこのまま消滅してしまうのでしょうか?
私は2万~3万人程度に減少する可能性はありますが、消滅は無いと考えています。
いくつか理由はありますが、以下の2点が大きいと考えます。
① 人は感情で物事を判断することが多い、そして医療関係者も人である
② 医療課題は医療がどれだけ発展しても残り続ける
どれだけ合理的な考えを持っていたとしても、実際に行動に移したときには
こんなはずではなかったと思うことが一度はあるのではないでしょうか。
また、医療課題の解決には製薬メーカーが関わっていることが多いことを
現場にいると実感します。
大学病院や総合病院など規模が大きいほど動きにくく、個人情報保護の観点からも
制約が大きいですがその分、やりがいも大きいです。
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患者さんのために何ができるのかを常に考え行動できるMRは
どの時代も生き残れると思います。